お口の清潔が感染症を防ぐ助けになる!
誤嚥性肺炎のしくみ
唾液や飲食物に含まれる細菌が誤って肺に入り込み、そこで繁殖して肺炎を起こすのが誤嚥性肺炎と言われます。
加齢により、のど周りの筋肉が衰えた高齢の方がかかることが多く、肺炎は日本人の死因の第6位を占める病気です。
こうした危険な感染症の予防には、日ごろからのお口を清潔にしておくことが第一です。虫歯や歯周病は細菌が原因であり、歯石やプラーク(細菌のかたまり)の溜まったお口では細菌がたくさんいる証拠です。お口の中の細菌の数が少なければ、誤嚥してしまったとしても、誤嚥性肺炎にはなりにくいと考えられます。
誤嚥って何?
食べ物や水分が、本来通るべき食道を通らずに誤って気管に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)といいます。 誤嚥しかけると通常は気管に入らないよう異物を排出するために激しくムセ込みます。 ムセることにより気管への侵入を防いでいます。しかし、脳血管障害や嚥下機能の低下した状態の高齢者はムセることができないので知らず知らずのうちに誤嚥している場合があり大変危険です。
口腔ケアは肺炎を予防する?
最近では、介護施設や入院施設等で口腔ケアを取り入れる施設が増えています。
口腔ケアを取り入れる施設が増えたきっかけは2001年の米山先生らの介入研究であり,現在でも参考にされます。
その研究では、11の要介護施設において 366人の要介護患者を専門的口腔ケアを週 1 度行う群と行わない群に分け、2年間の介入を行い,肺炎の発症率を比較しました。その結果、専門的口腔ケアを行った群は、発熱および肺炎発症の患者数が有意差をに少なく、その抑止効果は約 40% であるとのことでした。また、結果的に死亡者数にも差がみられました。この結果から、口腔ケアは肺炎の重症化を防ぐ効果があることが示唆されました。
このようなことから、脳血管障害や嚥下機能の低下した状態の高齢者に口腔ケアで介入することが重要という認識が広く広まるようになりました。
健康寿命を延ばすためにも肺炎にならないよう日々の歯磨きや定期検診を受診しましょう。また介護施設に入った場合は歯科医院に訪問診療にきてもらいましょう。