今回は歯科医院のメインテナンスで用いる最新のPMTC、エアーポリッシング(エアフロー)について解説します
Contents
PMTCって何?
皆さんは歯科医院でできる徹底した歯面清掃PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)をご存じでしょうか?歯みがきで落とせない歯石や磨き残したプラーク(バイオフィルム)を専用の機器を使って徹底的に取り除きます。そうすることで、う蝕や歯周病になりにくい環境を整えます。
予防に力を入れている歯科医院ではメインテナンスのプロブラムの中に組み込まれている内容です。
PMTCのメリット
セルフケアでは取り除けない汚れを除去
日常の歯磨きやフロス、歯間ブラシだけでは、歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目などに付着したプラークやバイオフィルムをきれいに落としきることができません。また、歯並びが悪く、歯と歯の間の隙間の多い方や、歯列矯正中(ブラケット矯正)の方は歯ブラシだけでは汚れを取りきるのは難しいです。PMTCによってセルフケアではなかなか取り除けない汚れを歯科医院でとってもらいましょう。
むし歯や歯周病の予防
歯の表面に残ったプラーク(バイオフィルム)は、むし歯や歯周病の原因となります。PMTCで徹底的に汚れを落とすことによって、プラークが形成される速度を遅らせることができます。
歯の着色を除去することができる
歯の着色は歯磨きではとることができません。PMTCによってコーヒー、紅茶、ワインなどによる着色や、たばこのヤニによる着色を除去することができます。また歯の表面がつるつるになり、着色がつきにくくなります。
口臭予防
口臭の原因の7割はお口の中の菌が原因と言われています。徹底的に汚れを除去することで口の中の細菌の数も減少し
口臭も軽減されます。
これまでのPMTC
歯面研磨用のペーストと回転式器具を用いて歯面清掃を行います。器具の先に取り付けるブラシやカップにはさまざまな形状や硬さがあり、状況に合わせて選びます。ペーストは研磨粒子の粗いものでプラークや着色を除去し、研磨粒子の小さいもので最終仕上げをします。
最新のPMTC エアーポリッシング(エアフロー)
エアーポリッシング(エアフロー)とは?
エアーポリッシング(エアフロー)はパウダーメインテナンスとも言われ、専用の機器から平均14μm(マイクロメートル)の細かな粒子と水、エアーによって歯の表面の汚れを除去する方法です。
従来型のPMTCと比べて不快症状がかなり少なく、短時間でプラークを除去することができます。
歯と歯の間は専用の機械を使っても除去が難しいですが、エアーポリッシングだと、パウダーの粒子が細かいため、専用ブラシでも届かない隙間まで清掃することができます。
パウダーは安全?
エアーポリッシングで用いるパウダーはエリスリトール、グリシン、炭酸水素ナトリウムが用いられます
エアフローパウダープラス
主成分:エリスリトール 糖アルコールの一種で虫歯の原因にならない ほのかな甘みがある
2歳以上の子供から、インプラント周囲、歯周病のメインテナンスとしても使用可能
エアフローパウダー ペリオ
主成分:グリシン アミノ酸の一種でほのかな甘みがある
エアフローパウダーレモン
主成分:炭酸水素ナトリウム 胃の中で胃酸と反応すると塩を生成する 塩分の接種制限をされている方には使えない
重度の着色に使用
エアフローで使うパウダーは口の中に残っても分解されるため安全です。現在ではエアフロープラスのパウダーが最もよく使われています。
実際にやっているところを見たい
必要以上に歯を傷つけず、最小限のパワーで取り除く
エアフローはGBT(GUIDED BIOFILM THERAPY)という患者満足度の高いメインテナンスのプロトコールの一部に組み込まれています。
GBTは、むし歯、歯周病、インプラント周囲炎の根本的な原因とされているバイオフィルムを除去し、お口の中とび全身の健康管理の実現を目指すアプローチ方法です。世界中の学術家や臨床家、歯科衛生士から精査した数多くの臨床的エビデンスに基づき、EMSが提唱している8つのプロトコールから成り立っています。
エアフローを用いたGBTが変革的な理由
①染め出し液で染出されたバイオフィルムを目安にアプローチするので、必要以上の施術は行いません。
早期歯石の除去が可能。効率的なアプローチにより従来のメインテナンス方法に比べて短い時間で汚れを落とすことができます。
②はじめにエアフローでバイオフィルムを除去するため、手用器具や超音波機器の使用を減らすことができます。
機械音や手用器具での施術が苦手な患者様に対しての不安を軽減。また歯面や修復物・インプラント補綴等に対して安全かつ効果的で非常に低侵襲なメインテナンス方法です。
③ラバーカップやブラシ、研磨ペーストを用いた歯面研磨は行いません。
エアフローを使用することでラバーカップで行き届かなかった部位にもアプローチできます。歯肉に機械的な刺激を与えることがないので、苦痛を減らした快適な施術ができます。
エアーポリッシングはまだまだ新しいメインテナンス法で導入していない歯科医院も多数あります。
歯科医院選びの基準の一つとして参考にしてみてはいかがでしょうか?